クリスマスの朝、ママから、ミセス・ビートンの料理書をいただきました。
17年前ぐらいになるでしょうか、ママの家の本棚にある初版本を見て以来、ママの家に行く度に、私がひそかに読んでいる料理書です。
1861年に出版されて以来、大ベストセラーのこの本は、クッキングブックを超えて、私のライフスタイル本です。
「あなたに、ジンジャービアーとミントソースの作り方を教えてあげようと思ったんだけど、全部ここに書いてあるから…」と真剣な顔で1861年に書かれた料理書をくれるママ…
うーん、と思ったのですが…
ミントソースは、以前ママに聞いて、私が作っているのと変わらないレシピでした。
ママがロサンジェルスの古本屋で、私のプレゼント用に探してくれたのは、1923年度の改訂版です。(写真左上)
ミセス・ビートンの死後も、この料理書は改訂版を出し続けています。
本を開くと、「家事労働を助けるもの」として「電気掃除機」が当たり前のように紹介されています。
ティムさんに、「1920年代に掃除機ってあったっけ?」と聞いたら、
「産業革命を起こしたのは、イギリス人だよ!フーバの掃除機はあったはずだけど。」とのこと。
本当ですか?
私の97歳の祖母(私の家族は長生きです)が若い頃は、ほうき・はたき・ぞうきんしかなかったはずなのに。
ママが、「DVD(写真右上)絶対見てね!あんな素敵なお料理の本を作ったのに、ものすごい不幸な人なのよ!28歳で亡くなっちゃったし!」と、BBC製作の伝記ドラマのDVDも渡してくれました。
「えぇー、28歳で亡くなった?」と私。
「ミセス・ビートンは、おばあちゃんじゃないのよ!出版した時は22歳だもの!」とママ。
私がイメージしていたミセス・ビートンは、銀色の髪にパーマをあてていて…
メリル・ストリープが演じたジュリア・チャイルドよりもずっーと地味で…
ディケンズの小説に出てきそうな厳しそーな小太りのご婦人です。
22歳の女性が、あんな専業主婦マニュアル大辞典作っちゃった?しかも1861年に!
先週、子供たちがインフルエンザにかかり、自宅にずっといましたので、BBC製作のDVDを見てみました。
とても楽しめるドラマでした。
フランスやドイツに留学したイザベラ・ビートンが、アメリカ帰りのちょっと調子良さそう!なサミュエル・ビートンと恋に落ち結婚をします。
それまで、弟や妹(イザベラの家族は大家族)の面倒を見ていた彼女は、結婚後に新居に落ち着くと、あまりにもすることがなくなってしまいます。
帰りの遅い夫の偵察も兼ねて、婦人雑誌を出版する夫のオフィスに行き、フランス語の翻訳などを手伝うようになります。
そのうちに、自身の経験も踏まえて、
「一家の主婦たるものは、陸軍の司令官と同じよ!
料理も、掃除も、使用人の使い方、ご近所付き合いの仕方、パーティの仕方もわかってなければいけないし、子育てもあるし、夫や子供が病気にかからないように常に気をかけていなければいけない!
母親からそういうことを習っている人はいいけれど、そんな人ばかりではないから、家事のマニュアルを、アルファベット順に並べた本があればいいんじゃないかしら!」と
アイディアを出して「Mrs Beeton’s Household Managements」を出版します。
その頃、イザベラは料理が得意ではなくて、使用人と一緒にたくさんのレシピを、実際に調理してレシピを完成したようです。
なので、オリジナルレシピと書いてありますが、イザベラのオリジナルではなさそうです。
ただ、その当時は、きちんとはかってあるレシピはなかったので、誰でも調理できるようにレシピを作ったのは画期的だったようです。
出版後、本はすぐにベストセラーになりましたが、イザベラの子供が2人ともすぐに亡くなり、会社の経営は破産寸前までになり、3人目の子供が生まれた時には家も売り、オフィスの2階に住む状態。
イザベラの父親が、
「妻に仕事をさせ、挙句の果てに破産寸前とはどういう夫だ!孫の為にも、郊外に家を用意するから帰ってこい!」と言いますが、
「お父さんは、最初からサミュエルのことが気に入らないのよ!私は好きで本を作っているし、私達が最悪の状況になるのを待って、恩をきろうとしても無駄よ!」と父親を締め出してしまいます。
父親にはそういう態度をとりながらも、
「結婚して8年たっても、子供もいず、家もなく、お金もなく、夫は家に帰らない。私には本しか残っていない…。」
と世間一般的な女性と自分の幸せを比べている場面もあり、親から受けた価値観というのは刷り込まれるものだなぁと思いました。
これはドラマなので、どこまでが史実に基づくものかわかりませんが…..
最後に3人目の子供も亡くなり、4人目の子供を産んだ時に、自分が、夫の梅毒に感染していることに気付きます。
夫の体調がいつも悪く、気分の変化も激しいことや、感染によって子供が次々に亡くなったことにも気付きます。
そして、産後イザベラは亡くなってしまうのです。
次々とアイディアを出して、新しいことに挑戦していくサミュエルを愛していたイザベラですが、イザベラ自身がサミュエル以上に、全てのエネルギーを本の出版に傾け、サミュエル以上にビジネスでは冷静な判断をするところが印象的でした。
ただ、本を書く原動力となったのが、次々に起こる不幸とは…。
さて、ミセス・ビートンの話はこれぐらいにしましょう。長くなってしまいました…。
このミセス・ビートンの料理書は、我が家の娘達が結婚する時に渡そうと思います。
娘達の大好きなミントソースのページにポストイットをつけて….。
クリスマスイブのリー家では、サンタさんに牛乳&クッキーを、トナカイに人参?を用意して、子供達は嬉しそうに早々とベッドへ行きました(写真左下)。
クリスマスの朝は、家族からのたくさんのプレゼントをもらった子供達。
次女が喜んだのは、カップケーキメーカー(ホットサンドのようにカップケーキが作れるタイプ)(写真右下)、
長女は iPod(ティムさんのお古)が聴けるバック(スピーカー付き)でした。
ティムさんの家族の中で、数年前から人気のあるクリスマスプレゼントは、ジョー・マローンの香水です。
私は、香水は普段付けないのですが、ジョー・マローンの香水のVerbenas of Provenceは、バーベナのフレッシュな香りをかぐと、元気になれるので大好きです。
家族の中で一番人気なのは、PomegranateNoir。
一度、サウスコーストで、この「いちじく」の匂いのする人に会ってしまい、振り返ってしまったことがありました!
40代長身の素敵な女性でした。
「いちじく」の匂いは、私には強い香りですが、男性にも女性にも素敵な香りです。
妹のシャーリーンは、世話好きなので、お返しにお友達からプレゼントももらうことも多い人です。
「プレゼントは何がいい?」と言われた時は、「ジョー・マローンの香水!」と必ず答えているそう。
「そのうち全種類揃いそうよ!」とのこと。
最近は、日本にもショップがあるので、ギフトに困った時は、ノスタルジックなイギリスの香水店をのぞいてみてください。
ルームフレグランスもいいですよ。